直感で操作できるUXを実現するには

プロダクトはつくるだけではなく、使い続けてもらうことでユーザーに新たな価値を提供できます。
フェンリルは、自社開発と共同開発の両分野でさまざまなサービスを提供してきました。今回は、自社プロダクトに焦点を当て、ユーザーが使いやすいサービスとは何かを考えます。また、その先にある課題を解決するための取り組みについてご紹介します。

デザインと技術を体現するプロダクト

フェンリルに根付いている「デザインと技術」。この2つの両立こそ、ユーザーに新しい価値を提供できると考えています。これまでSleipnirをはじめ、さまざまなサービスやプロダクトを通じてユーザーに使いやすいと感じていただけるものを追求してきました。
フェンリルがお届けしているデザインツール「Picky-Pics(ピッキーピックス)」もその一つです。このツールを使えば、誰でも簡単にオンラインでデザインを制作できます。例えば、店頭に設置するPOPや看板を作る場合、デザイナーに依頼をして専用ソフトで制作するのが一般的ですが、店舗スタッフやイベント企画者などデザイナーではない人でもパソコンやスマートフォンで制作できるようになるのです。


Picky-Pics編集画面UI

なぜPicky-Picsは専門スキルを持ち合わせていなくても直感で操作できるのか。技術面の特長を2つご紹介します。
1つ目は、商用目的で使うイラストやフォントなどを使って制作できる点です。一般的に、素材は版権元に使用料を支払わなければならない場合があります。しかし、Picky-Pics内で提供している素材やフォントは商用目的でも使えるため、安心して利用できます。
2つ目は、マルチデバイスに対応する柔軟なデザインを確認できる点です。端末のスペックや機械によって、制作した通りに表示されないことがありますが、互換性を意識して表示を一定にできるのもフェンリルの技術によるものです。これにより、配置ミスを減らして思うままに操作から出力までスムーズに作業できます。

ユーザーの先にあるもの

Picky-Picsをリリースした当初は店舗スタッフやイベントの企画者など、B to Cのプロダクトとして提供していました。しかし、「制作から印刷まで一貫したサービスとして考えてみると、ユーザーの業務効率が改善し、より使いやすいサービスになるのではないか。」と考え、そこで次のステージは企業と連携したB to Bのサービスを提供をすることにしました。


B to CとB to Bの違い
「事例で学ぶ B to B マーケティングの戦略と実践」栗原(2020)よりナレッジ編集部が作成

これまでどのようなビジネスと連携してきたのか。事例を基に説明します。

ケース1:制作から印刷まで一貫したサービス(UX改善)

オンラインの印刷会社A社と提携し、制作から印刷まで一貫したサービスを開発しました。
A社のユーザーは企業のイベント企画者が多く、縦書きののぼりの制作注文が多かったため、当時の技術では高度であった「縦書き」を導入しました。現在は、うちわなどの難易度が高い形状にも対応できます。

ケース2:ダイレクトメールの開封率を把握できるサービス(マーケティング支援)

マーケティング会社B社と連携して、イベント用のダイレクトメールに添付するQRコードを自動で1通ずつ作成してメッセージを送るサービスを実装しています。これにより、受信者の誰がメッセージを開封したのかを特定することができ、具体的な営業活動のアプローチが改善されました。

ケース3:PDF作成の技術の改善(技術改善)

何千ものページ数となる大量のPDFデータを作成する場合、データ化するのに数時間以上かかる場合がありました。この問題を解決するためにAmazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)のサーバー(インスタンス)上で作成していたPDFをページごとに分割してAWS Lambdaで全ページを並列に作成することにしました。
この結果、数千ページを超えるPDFを作成したとしても数十ページのPDFを作成する時と同様の作成時間へ短縮されて、大幅にパフォーマンスを改善することができました。


データ処理方法を改善することで閲覧までの時間を大幅に改善できる

このようにサービス単体のパフォーマンスはもちろん、ユーザーの行動と課題を整理してサービスを充実させることで、長く愛されるプロダクトになると考えています。

ユーザーの本質に寄り添うプロダクト開発

Picky-Picsの事例を基にフェンリルのものづくりについて説明しました。プロダクトは、ただ便利なだけではなく、ユーザーにとって使いやすいものでなければなりません。また、時代の潮流や課題に寄り添い、適切なビジネスと結合することでより便利なサービスへと進化します。

プロダクトは作って終わりではなく、市場の変化に合わせて成長させることで新たな市場を開拓できると考えています。今後もさまざまなプロダクトを通じて、ユーザーの課題に寄り添ってまいります。

本記事の執筆者|矢野邦裕
フェンリル株式会社 プロダクト開発部 エンジニア
2017年にフェンリル株式会社に入社。プロダクト開発部に所属し、ウェブアプリケーション開発のエンジニアとしてPicky-Picsのメインエンジニアを担当。開発に注力している。

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