ANAマイレージクラブアプリ

ANA X株式会社

ANAグループが提供するマイレージサービス「ANAマイレージクラブ」の公式アプリです。

2021 -

マイルで生活できる世界の実現を目指して、
ANAマイレージクラブアプリの未来をつくるプロジェクト

航空業界がコロナ禍の打撃に襲われる中、ANAグループはビジネスモデルの変革を目指していました。非航空分野の収入拡大です。もともと航空分野だけにとどまらず、顧客の生活のさまざまなシーンでサービスを提供していましたが、認知度や利用者数の面で課題を抱えていました。従来のアプリも機能がシンプルで、マイルの残高と有効期限の確認に限られていました。
ANAは2021年春、このアプリを大幅にリニューアルし、ANAグループの各種サービスへの接点となる“ゲートアプリ ”として生まれ変わらせるスーパーアプリ構想を発表。グループ全体のサービス認知を高め、顧客のライフタイムバリューを高めるためのプロジェクトをスタートさせました。
フェンリルは、マイル生活圏の中核となるアプリの企画から開発・リリース、またグロースまで、サービスデザインのパートナーとして対応しました。

相談されたこと

  • 「マイルで生活できる世界」を実現するスーパーアプリを作りたい
  • 「マイル」「ANA Pay」以外の価値を考えたい
  • マイルサービスと連携していくスーパーアプリを目指したい
  • 2022年10月のリリースに合わせて、ミニアプリや運用面も検討しながら進めたい

プロジェクトの内容

  • ANAの特長を生かしたマイルサービスのあり方から考えた
  • コンセプトの提案
  • スーパーアプリの拡張性と、ツールとしての利便性の両立を目指した
  • ビジュアルを用いた議論で検討をスムーズに進めた

「マイルで生活できる世界」を実現するスーパーアプリの課題

ANAは「マイルで生活できる世界」を実現するためのアプリを模索していました。デジタルとリアルをつなげるコアとなる要素がマイルであると位置付け、さまざまなサービスとの接点、その受け皿となるスーパーアプリ(ゲートアプリ)です。
スーパーアプリのあり方を考える上で、重要なポイントが二つありました。一つは、すでに多くの企業が顧客を自社のスーパーアプリやポイント経済圏に取り込み、顧客のLTV(生涯価値)向上を目指していることです。ANAならではの強みを生かせなければ、競争で勝つことはできません。
もう一つは、スーパーアプリには多機能というメリットがある反面、ユーザー観点からすると、操作が複雑で使いにくくなりがちです。拡張性と使いやすさにはトレードオフの関係があるのです。その点に注意しないと、機能はそろっていても使ってもらえないアプリになる恐れがあります。

「行動したくなるキッカケを与えて日常生活を楽しくさせる」を体験の中心に

フェンリルはまず、ANAが目指す「マイルで生活できる世界」とはどのようなものかを明確にして、それをできるだけシンプルな体験に落とし込むアプローチを取りました。そうやってANAの提供価値を整理した上でユーザーアンケートを実施したところ、マイルユーザーは移動に関する関心が高く、行動的なタイプであることが分かりました。
日常の中で新しく接点を作ろうとするANAにとって、旅行や航空といった非日常に関心のある顧客を囲い込んでいるのは大きな差別化ポイントです。そこでANAがアプリを通じて提供する体験の中心を、「行動したくなるキッカケを与えて日常生活を楽しくさせる」と設定しました。
ANAのような大きなグループ企業になると、グループ全体を統括するサービスを考えようとすると何から手を付ければいいのか難しい面があります。今回、体験の中心が設定されたことで、バラバラだった要素が一つにまとまり、目指すべき方向性や優先度を明確にすることができました。

ネイティブアプリ設計の深い知見を生かし、シンプルさと拡張性を両立

リリース後も自由に機能を拡張できるスーパーアプリは、実はスマートフォンアプリの思想と相いれない面があります。機能の拡張はアプリを提供する企業にとって都合が良い反面、ユーザーにとっては使いにくくなってしまいがちだからです。GoogleやAppleが策定しているアプリのガイドラインによると、アプリケーションの「目的は一つ」とされています。本来は極力シンプルなツールにするべきなのです。
そこで本アプリでは、コア体験となる必要最小限の要素のみでメイン画面を構成してユーザビリティを担保しつつ、各サービスに誘導する場合は階層や表現を分けることで拡張性を両立させました。

ビジュアルをベースに具体的かつ効率的に議論を進行

多数の連携先、並走するミニアプリ、将来的な拡張性など、スーパーアプリとしての検討要件は膨大です。既存アプリの機能をそのまま引き継ぎながら、新たな機能の要件を固める必要がありました。
こうしたサービス開発で一番難しいのが一つ一つの仕様の決定です。ジャッジを効率的にするために、議論をビジュアルベースで進めることにしました。概念的・抽象的な検討を極力減らし、ワイヤーフレームやビジュアルデザインを作成したり、プロトタイプを作って動かしてみたりなど、具体的に見える形にして判断してもらうように工夫しました。
また、本アプリではアクセシビリティにも配慮し、文字の表示拡大や音声読み上げにも対応。高齢者や身体に障害のある方を含む、全ての利用者が支障なく操作方法を理解し、操作できるよう心掛けました。

今後の展開

リリース後のユーザーの反応は上々で、目標としていたダウンロード数と月間アクティブユーザー数を達成することができました。アプリの改善にも一歩一歩取り組んでおり、現在はさらに一歩踏み込んで、デジタル体験全体をCX視点で総合的により良くする提案をしています。
ANAのように事業領域が多岐にわたる企業にとって、ユーザー体験を全体最適で改善する取り組みが重要です。今後はそうした観点からアプローチしたいと考えています。

クライアントからの声

私たちのビジネスが新たな段階に入る大きなきっかけとなったのは、フェンリルさんと共同で開発したアプリです。このアプリは、シンプルながらも高い使い勝手を実現し、私たちのビジネスや運用体制に対する深い理解を基にした提案や実装をしていただきました。

特に、私たちのビジネス環境が常に変化し、迅速な対応を求められる中で、フェンリルさんは私たちと肩を並べ、目標達成に向けて持続的に成長するプロダクトの開発に取り組んでくださいました。このアプリのリリースは、ビジネスに大きなインパクトを与えるだけでなく、私たちの可能性を大きく広げてくれました。フェンリルさんとは、真に共に成長していくパートナーとしての強い絆を感じており、この貴重なパートナーシップに心から感謝しています。

制作スタッフ

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