実績:HermAce | フェンリル

VDR検査の新たな形、「HermAce」が実現するリモート検査

船舶用電子機器をはじめとした幅広いフィールドで事業展開する古野電気株式会社。同社が提供する「VDR（航海情報記録装置）」は、航空機におけるブラックボックスにあたるもので、海難時にも航行履歴などを記録する重要な装置です。このVDR年次性能試験（以下、APT）をリモート実施する補助アプリ「HermAce（ヘルムエース）」を開発するプロジェクトが始動しました。
フェンリルは、このアプリの開発とデザインを担当。ネイティブアプリ開発、ウェブアプリ開発、デザインなど多岐にわたり支援しました。これによって、オンラインでVDRの状態が確認できるようになり、場所や時間の制約をなくした検査実施を実現しました。

協業で生まれる、最適なUIデザイン

本プロジェクトの目的は、APTを、現地での技師による対応から、船員が現場で作業して技師が遠隔で確認する形式に移行することでした。そのため、船員が直感的に操作できるUI構築が、デザインチームのミッションでした。

最適なデザインを実現するため、まず要件定義の段階で、機器や専門用語などの前提知識の習得に注力しました。また、古野電気の実際の機器を見学させていただいたり、不明点について質問する時間を設けていただいたりしました。これにより、APTの業務フローやアプリの利用タイミングなどを理解した上で、デザイン制作に取り組めました。

さらにフェンリルは、設計段階からエンジニアとデザイナーが密接に連携し、「実現性はどうか」「この状況での対応策は」といった議論を重ねました。社内でエンジニアとデザイナーが協力し合うことで、双方の視点を取り入れたUI設計が可能になり、操作性とデザイン性を両立しました。

検査業務の人的負担を大幅に軽減

利用シーンとアプリの特性を考慮し、船員が利用するサービスはネイティブアプリを、技師が利用するサービスにはウェブアプリを採用しました。

リモートでAPTを実施する際、事前準備として、技師から船員に対して検査機器の使用方法や検査画像の要件についてリアルタイムでの説明を行なっており、技師の負担のひとつとなっていました。
船員向けサービスでは、撮影マニュアルとガイドを参照可能にすることで、船員が自力で撮影を行い、事前準備を完結できるようにしました。海上ではいつでも安定した通信環境があるわけではない状況を踏まえ、ネイティブアプリの特性を活かし、オフライン状態で利用できるようにしています。
また、アプリ内で検査画像の撮影から提出までを完結させることで、改ざん防止も叶えました。

技師は、事前準備のサポートが不要になり、ウェブアプリを介して、時間や場所にとらわれず検査ができるようになりました。不適当な画像が確認された際に船員に再撮影を依頼できるフローを整備し、リモートでAPTを完結することが可能となりました。
これらの取り組みにより、精度の高い検査を実現しながらも、船員と技師など検査に関わる人的負担の軽減に大きく貢献しました。

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プロジェクトマネジメント

鍋良舞

ディレクション

若林佑希、作間あすな

デザイン

阪口果歩

営業

奥村司

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