みみみ

株式会社中国新聞社

2022 -

老舗の地方新聞社が取り組む
デジタル世代に向けた価値創造の挑戦

株式会社中国新聞社(以下中国新聞)は、広島を中心に中国地方の報道を支える地方新聞社です。130年の歴史を持ち、報道から地域交流イベントまで幅広い領域で地域の暮らしを応援してきました。

近年は、ネットやSNSで簡単に情報を得られるようになった反面、内容の正確さを確認するのがますます困難になっています。そんな時代に生きる今の世代に対して、最も身近な新聞社である地方新聞社だからこそやれることが何かあるはず───それを一緒に探してほしいというご相談が、このプロジェクトのきっかけです。中国新聞の本質的な価値を見つめ直し、デジタル世代を対象に新たな価値を創造する挑戦を、広島の地で始めました。

フェンリルはサービスデザインのパートナーとしてプロジェクトに参画。サービスの企画から開発、プロモーションやグロース活動に至るまで幅広い取り組みを支援しています。

相談されたこと

  • 新聞を読んでいないデジタル世代との新しい接点を作りたい
  • 良い意味で新聞社らしくないサービスにしたい
  • サービスをどのように成長させるのかを一緒に考えてほしい

プロジェクトの内容

  • 中国新聞の持つ本質的な価値の再発見
  • デジタル世代のライフスタイルに合わせたニュースアプリ「みみみ」を開発
  • サービス成長の仕組み作りからプロモーションまで支援

新しい世代に向けて
地方紙だからできることを考える

地域を支えてきた歴史ある企業がデジタル世代とのコミュニケーションを模索する取り組みは全国で行われています。中国新聞は発行部数約50万部を誇りますが、購読者の多くが中高齢者でした。そのためまずは調査や企画を通して仮説を作り、ユーザー検証で受容性を確認しながら開発を進めました。

調査から見えてきたのは、若い世代が情報に溺れている状況です。スマホとSNSの普及で真偽不明な情報が爆発的に増えており、収集時は情報の信頼性をとても重視する傾向が見られました。また広島の若い世代は地元愛が強く地域への関心が高い傾向も判明。同じ街に住む記者が取材に基づいた確かな情報を、ユーザー目線で伝えることができれば新しいニュース体験を提供できるのではないかと考えました。

そこで考えたコンセプトが「こたえる新聞」です。
「一方通行で」「敷居が高い」といった新聞社への先入観から脱却し、ユーザーと同じ目線で伝え、一緒に考え、こたえるためのサービス。「みつける、みになる、みんなでつくる」それがみみみです。
時間のないデジタル世代は、ビジュアル主体で手軽にニュースをチェックできます。記事を読んで疑問や感想が浮かんだら、他のユーザーや記者に質問することもできます。地域情報の中心にいる中国新聞だからこそできる、同じ目線でニュースを伝え、学びと交流につなげる取り組みです。

このサービスは単に若い世代との接点を生み出すだけではなく、中国新聞が地域住民とどのように関わっていくかを検証するプロジェクトでもあります。ユーザーと双方向の関わりを持ち、意見やフィードバックを受け入れながら報道やサービスをアップデートする。読者と同じ街に記者が住んでいる、地方紙だからこそできる新しいニュースの関わり方を、みみみを通して確かめます。

新しいニュース体験を目指す
こたえる新聞「みみみ」

新聞に親しみのないデジタル世代には、ただ新聞を読みやすくするだけでは使ってもらうのは難しい。かといって、奇抜にし過ぎれば信頼性が損なわれてしまう。そのため「こたえる新聞」というコンセプトを土台に、印象面では直感的な楽しさや心地よさを、実用面では読みやすさやわかりやすさを追求しました。

アプリの顔となる「コレだけ」の画面には、縦持ちを想定してニュース画像を大きくレイアウト。片手で手軽に操作できるよう、操作性やパフォーマンスにこだわっています。また、一見大胆に思える配色も、アクセシビリティに配慮してAPCAコントラストを採用。印象と可読性のバランスを確保しています。難しい文字をぎっしり読むのではなく、ビジュアル主体で見て楽しめるようなニュース体験を目指しています。

しかし、特殊な表現を全面的に取り入れると煩雑な印象になり、制作コストが高くなります。そこで、全体を通しては各OSのガイドラインに準拠。ベゼルやタブを黒くして余計なノイズを減らす、余白を意識して文字組みを調整するといった工夫で、コンテンツに集中できるUI設計を意識しています。そこに絵文字表現を組み込むことで、コストを抑えながら現代的なコミュニケーションに近い表現を目指しました。

デジタル世代はそれぞれが自分なりのやり方でアプリを楽しみます。そのため「みみみ」の設計に当たっては、ユーザーが自分のスタイルに合わせて柔軟な使い方ができるよう、機能や表現に幅を持たせています。相反する要素をコンセプトを土台に丁寧に組み上げた結果、全体を通して見ると一貫性のある体験を提供できるようになりました。

今後の展望

アプリのリリースは、中国新聞が若者と新しい関係を築くための第一歩です。ユーザーの期待にこたえ、デジタル世代に新しいニュース体験を提供する挑戦はこれからです。最も身近なパートナーとして貢献できればと考えています。

制作スタッフ

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