実績:Mysurance ビジュアルアイデンティティ刷新

Mysuranceのブランドを確立するVIの共創

「保険に新しい価値を。お客様に新しい体験を。そして、世の中をもっとスマートに。」を掲げ、ウェブで完結する少額短期保険商品を提供しているMysurance株式会社。フェンリルは、同社のブランドを確立する「ビジュアルアイデンティティ（VI）刷新」のプロジェクトを支援しました。

支援にあたり、ロゴマークなどの目に見える部分の制作の前に、組織や社員、ブランドへの理解を深めました。
まずは、Mysuranceという組織の考えをキャッチアップすべく、Mysuranceの全社員を対象にしたアンケートやワークショップを実施。これを通じて、ブランドの提供価値や目指すべき姿を言語化・可視化して両社の共通認識を形成しました。
その後、ブランドを象徴するシンボルマークやロゴタイプを制作。加えて、これらを自社で運用できるようにガイドラインも整備しました。

Mysuranceの更なる成長を見据えて、社員一人一人が自社のブランドに愛着を持てるようなVIを、Mysuranceとフェンリルで共創しました。

ブランドの現状と提供価値を、全社員で再認識する

プロジェクトは、Mysuranceというブランドの現在地を正しく理解することから始まりました。

フェンリルはまず、クリエイティブを中心とした現状分析に加えて、全社員を対象としたアンケート調査を実施。
具体的な現状分析として、VI刷新の事例や海外の保険業界のブランド表現を調査しました。自社・競合・市場を幅広く調べ、Mysuranceの実態を掘り下げていきました。

アンケートでは、自社が掲げるMVV（ミッション・ビジョン・バリュー）の浸透度や、既存ロゴへの好感度、社員が感じる自社の特徴やお客さま像などを多角的に質問。その結果、社歴によるMVVの理解度の差があまりないこと、社員一人一人が抱くブランドイメージにも大きな差がないことが判明しました。

これらの調査を経て、フェンリルのMysuranceに対する理解が深まりました。

両社の対話から生まれる進化

フェンリルは、Mysuranceへの理解を深めたうえで、Mysuranceが「どのようなブランドであるべきか」というゴールを明確にするため、ポジショニングマップを作成。このマップを使い、対話を重ねました。

その結果、「商品の特長から想起される”シンプル”さや、保険自体の安心感がもたらす”リラックス”というイメージはもちろん、その奥にある”信頼性”や”温かみ”も兼ね備えたブランド」という方向性を固めました。

次に、ブランドに命を吹き込むため、ブランドの人格を定義するブランドアーキタイプを検討。Mysurance社員は、自分たちの組織に対して「創造者」や「探検家」というイメージを持っていることが分かりました。

そして、イメージを具体化するため、写真を持ち寄ってイメージボードを作成。これらの取り組みにより、ブランドの方向性に対する共通認識を形成しました。

この共通認識をもとに、ロゴやキャラクターの試作段階へと進みました。提案に対するフィードバックには、なぜそう感じたのかを深く掘り下げ、Mysuranceが本当に求めるイメージは何なのか、双方が納得いくまで話し合いました。その結果、グリフォンをはじめとしたモチーフを共に見つけ出すことができました。

調査から導き出したデザイン案を提示するにとどまりません。フェンリルは、全ての過程でMysuranceと積極的に対話をしてきました。Mysurance社員から寄せられたフィードバック一つ一つに誠実に向き合うことはもちろん、「なぜ、こうあるべきなのか」を共有し、全員が納得いくまで検討を重ね、共に最善の方向を探しました。

お客さまの声

今回のプロジェクトは当社のビジネス、なかでも特にマーケティングに寄与することが主目的であり、デザインそのものが主役ではありませんでした。プロジェクトの進行に当たっても、クリエイターの立場にありながら当社のビジネスを深く理解した上で進行していただいたと感じています。また、デザイン案を提示するだけでなく「なぜこうするべきか」を丁寧に説明していただき、より良い方向性を一緒に考え、納得いくまで対話を重ねてくれたことが非常に印象的です。

中間成果物では検討過程やデザイン上の工夫を社員にも分かりやすく（そして熱く）伝えていただき、また、ワークショップでのディスカッションを通じて社員が主体的に関わることで、本当の意味で会社全体、社員全員にとっての取り組みになりました。

自分たちのブランドを育む、共創プロセス

フェンリルが目指したのは、VIの刷新を通じてMysuranceの「親しみやすいブランドを確立し、さらなる成長を実現する」というビジネスゴールに貢献することです。

これを達成するには、Mysurance社員一人一人のVIへの深い理解と、自分たちのブランドに対する誇りや愛着が不可欠だと考えました。そこで、単にVIを制作するのではなく、フェンリルとMysuranceの両社で共に考え・創る、共創プロセスを採用。
ブランドを体現するVIを制作していくにあたり、思考のプロセスをフェンリルだけで完結させず、Mysuranceの皆さんにも歩んでいただきました。
例えば、最終成果物の発表までに中間発表会を2回実施。Mysuranceの全社員を対象にしたワークショップで、アウトプットに対してディスカッションをする機会を設けました。

Mysuranceが、一貫したストーリーの下でブランドを運用し、将来社員の顔ぶれが変わったときにも、お客さまとの接点を築き続ける。そんな状態を目指して、フェンリルはMysuranceと共にプロジェクトを進めました。

信頼性と親しみやすさを両立した、Mysuranceならではの新しいブランドの形

上記の過程を経て、フェンリルは具体的にVIの核となる3つの要素を制作しました。

1つ目は、ブランドの象徴となるシンボルマークと、ブランドの認知を後押しするロゴタイプです。
シンボルマークは、鷲の「先見性」と獅子の「勇猛さ」を併せ持つ伝説の聖獣「グリフォン」をモチーフに、「もしもの不安を安心に変え、未来の可能性を切り拓く」というブランドの姿勢を表現しました。
ロゴタイプは、社名およびブランド名である「Mysurance」を親しみやすい書体にした上、カタカナで併記しました。社名が十分に認知されていなかったという課題に対応し、誰でも読みやすいロゴタイプを制作しました。

また、Mysuranceとお客さまの重要な接点である、コーポレートサイトの構成を見直しました。VIに合わせたデザインはもちろん、ナビゲーションやページ構成を再設計しコンポーネントを統一しました。

これに沿うことで、担当者に依存せずクオリティを担保できるだけでなく、ブランドイメージの醸成も期待できます。さらに、ページの作成や更新の手間が軽減されることによって、商品の訴求内容により多くの時間を割くことが可能です。

これらは、サイトを運用するMysurance社員にとってのメリットですが、お客さまにとってのメリットにもなり得ます。ルールを定めて整理されたサイトは、自分に合った商品を探しやすくなる上、短い時間で選択できるようになり、体験の向上にもつながります。

お客さまの声

このプロジェクトに対して、期待以上の満足度を感じています。単にデザインを刷新して無難にまとめるだけではなく、今後当社がどのような方向を目指していくべきか、それをどのようなビジュアルアイデンティティで表すべきか、本質から考え直すきっかけとなりました。たとえば、今回のプロジェクトで新たにキャラクターを制作しました。プロジェクト開始当初はまったく想像していなかった方向性であり、提案いただいた当初は驚きましたが、議論を重ねるうちに「これしかない」と思えるほどの意味合いを帯びていきました。このように当社が想像していなかったほど大胆な方向性のシフトは、フェンリルさんなくしては成らなかったと考えています。

今回は当社の“わかりやすさ“・”親しみやすさ“を表すためにシンプルなデザインを採用しました。デザインの数々はシンプルでありながらも一貫して質が高く、単にデザインが改善できただけでなく、マーケティング成果への貢献も確認できました。

今回の制作物は、単なる一つのデザインを超えて、当社ブランド全体の「顔」となります。これを礎に、商品カテゴリを超えた会社としてのブランド価値を築いていけると考えています。また、当社内についてもお客さまのために今後築いていくべき文化の象徴であり続けることを期待しています。

今回支援いただいたデザイン領域での一層の共創はもちろん、デザインと開発を一体で進められるフェンリルさんの強みを活かし、UXやサービス全体を含めた取り組みもいずれ行えたらと思っています。

制作スタッフ

クリエイティブディレクション

中西弘樹

プロジェクトマネジメント

萩原もえ香

リサーチ・企画

中西弘樹、萩原もえ香、岡千尋

アートディレクション

中西弘樹、北田光志（社外）

デザイン

岡千尋、北田光志（社外）、のとあゆみ（社外）

イラストレーション

のとあゆみ（社外）

コピーライティング

清久雅司（ストーリーワークス）

コーディング

小地戸孝介、鯉田武範、清水敬太

営業

池田正文

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