2016.6.2

学習し続ける開発チームを作るための 3 ステップ

エンジニアとして仕事をする上で、何を大事にしているかは人それぞれですが、私は『利用する人にとって価値のあるプロダクトをつくる』ことだと考えています。そのための手段として、プログラミングなどの IT スキルが必要であり、IT スキルを高めることによって、プロダクトに対する技術的アプローチの幅も増え、より良いものを、より早く提供できるようになると考えています。

本テーマは組織という大きな範囲ではなく、10 人程度の実践しやすい規模のチームで、技術向上のための学習活動をどう考え、実践しているかをお話していきます。

学習のきっかけ作り

チームによる学習の意義としては、技術情報の共有ということが挙げられますが、個々のエンジニアの学習のきっかけ作りもあると考えています。多くのエンジニアは本来モチベーションが高く、一人でも学習を進めていきます。しかし、組織が大きくなるほど、必ずしもそういったエンジニアだけでは構成されないのも事実です。

コラム 学習し続けるチームを作るために イメージ1

エンジニアの学習意欲は次のような 3 パターンに分けることができると考えています。

  1. 学習する欲求が強く、進んで学習する人
  2. 学習したいという欲求はあるがなかなか行動にだせない人
  3. 現状に満足し、特に学習する欲求がないと考える人

私が取り組むべきことは、チームとしてのスキルアップはもちろん、2 に該当するエンジニアに対しての学習のきっかけ作りです。

組織が大きくなると割合として 2 に該当するエンジニアが多くなると感じています。そこで、学習のきっかけを作り、進んで学習するエンジニアの割合を増やし、各々で技術の幅や質を高め、それをチームで共有し、継続的に成長する土壌を形成したいと考えています。

チームで行う学習活動にステップを設けるとするならば、以下があると考えています。

  • ステップ1:興味の幅を広げる
  • ステップ2:実際に手を動かす
  • ステップ3:活動を継続する

はじめに、チーム内の個々のメンバーの興味の幅を広げるための、情報収集や情報共有をライトに行う活動です。この活動では、まずはチームで集まるという習慣と情報をキャッチアップするという習慣を根付かせることが目的になります。次に、スキルを高めるための活動として、情報収集だけでは知り得ない、実際を手を動かして知ることのできる、考え方や使い方について身につけ、共有することです。この活動により学習のきっかけの場を作り、チームとして継続的に学習する習慣を定着化したいと考えています。

ステップ1:興味の幅を広げる

実際に行った活動としては、以下があります。

  • 週 1 回ランチミーティングとして開催
  • ネットで見た興味ある内容を 10 ~ 15 分で紹介
  • スピーカーは当番制で 2 人

コラム 学習し続けるチームを作るために イメージ2

特に変哲も無い内容ですが、肝心なのはライトに開催することです。準備時間もいらないため、ハードルを下げることができ、技術的な刺激も得られるため、まずは何かを始めようというチームには良いでしょう。ただ、この活動では手を動かすことがないため、実際に力を付けるという意味での効果は限られてしまいます。

ステップ2:実際に手を動かす

上記のような活動により、チームで集まる習慣や情報収集の習慣ができたところで、実際に手を動かす活動を取り入れています。スキルアップのための近道はなく、自分で手を動かすことで初めて、ツールやライブラリの使い方や考え方を知ることができると考えています。さらに、ただ手を動かすだけではなく、情報を他のメンバーに伝えるために整理することが、その技術に関するさらなる深堀りにつながっています。具体的な活動内容は以下の通りです。

  • 隔週で開催
  • 実際に手を動かし、その結果を資料にまとめて 30 分で紹介
  • スピーカーは当番制で 2 人

発表する内容は特に限定せず、各人が興味のあるテーマを自由に選定しています。そのため、実際の業務に直結するものではないこともありますが、この活動で大事なのは手を動かすきっかけ作りのため、あえて幅広く許容するルールとしています。この活動がある程度定着した場合、業務に直結するテーマに限定していくのも良いでしょう。自由なテーマ選定だけでは、浅く広くなりがちのため、業務に直結するテーマに絞ることで、技術を深堀りし、より高度な技術を保有できるチームになると考えています。

コラム 学習し続けるチームを作るために イメージ3

学習の定着化という観点ではやや頻度が低いのですが、まずは無理なく継続的に開催することを第一と考え、隔週開催としています。頻度が低い分、必要に応じて日程調整をしながら、少しでも多くのメンバーが参加できる形で継続して実践していくのが良いと考えています。

ステップ3:活動を継続する

コラム 学習し続けるチームを作るために イメージ4

組織の状況やメンバーの学習意欲によってさまざまなやり方がありますが、これまでの活動を通じて「継続」こそが重要だと考えています。活動を開始すること自体にはあまりパワーを必要としませんが、それが一旦止まるとチーム内の活動に対するモチベーションが下がり、再開するパワーは開始するときのパワーよりはるかに大きくなると感じています。チームにあった継続可能な方法は何かを考え、自分たちにあったプラクティスをあきらめずに模索していってください。

関連コラム