2016.6.17

あなたが、職業プログラマーの枠を今すぐ越えるべき
理由

はじめに: プログラマーの枠を越えるべき理由

職業プログラマーとしてのキャリアをこれから始める人達に知っておいて欲しいのは、コードが書けるだけでは稼ぎは減る一方だということです。

というのも、要求されるソフトウェアがどんどん高度で複雑になったために、はっきりとレイヤー化された分業スタイルが定着しました。おかげで近頃のプログラミング業務の多くは、その一番上のレイヤーで、できあいのコンポーネントをつなぎあわせてうまく動くようにするだけで事足りるようになってきています。このような業務では、多少のプログラミング能力の差異では、業績に与える影響はほとんどありません。だからコストの安いオフショア開発の優位性は高まる一方で、同じ土俵では人月の安売り競争に巻き込まれてしまいます。

では、プログラマーが安売り競争に巻き込まれずに、組織にとって価値のある人材だと認められるためにはどうすればよいでしょうか。取りうる道は2つ、(1) プログラミング技術で最先端を目指すか、(2) プログラマーの枠を越えるかです。

(1) は、低いレイヤーで価値のある基盤やコンポーネントを生み出せるようになることです。限られたフィールドでエリートが競い合うという意味では、プロスポーツ選手として食っていくのと同じ感覚です。この道をとっくの昔に諦めた私が言えることは何もありません。

(2) は、プログラミング能力に加えて、シナジー効果を生む別の業務能力を身に付けることです。

ここでは (2) の道について、プログラマーだからこそ陥りがちな問題をすんなり乗り越えるための 2 つのポイントを紹介したいと思います。

コラム 職業プログラマーが自ら枠を越えるべき理由と、すぐに成果を出すための2つのポイント イメージ

ポイント1: ミッション

そもそも一個人にとってミッションとは何でしょうか。それはどのような業績をあげるのかという方針です。業績とは有形・無形の資産を増やすことで、有形の資産とは要するにお金、無形の資産とはブランド力やノウハウの蓄積といったものです。さらに環境や幸福、平和といった社会に対する貢献も含まれます。

最も重要なことは、自身の立場でミッションに対して最大限貢献できることを考えぬいて選択することです。

当たり前すぎる話を敢えてする理由は、プログラマーは少しでも早く高い品質で開発することが常に目の前にある課題であり、大きなミッションを意識する機会は少ないからです。

しかし、マネジメントや企画などの上流の業務では、ミッションに対する直接的な対応が求められます。プログラマーは枠を越えるとき、ミッションに改めて向き合い直し、ことあるごとに立ち返ってミッションとの整合性をチェックすることを習慣づけるべきです。

なお組織において自分に課されるミッションは、大きなミッションから段階的にブレークダウンされたものですから、大局でずれてしまわないよう、各段階でのミッションをしっかり理解しておくことが大切です。

ポイント2: 視野

プログラマーは独自の文化を持ち、同職種のメンバーでコミュニティを形成することが多いため、価値観が偏りがちです。なのでプログラマーが企画をするときの傾向として、コンピュータ業界の文化に寄りすぎることがあります。

もしプログラマーが企画をするのであれば、テーマ設定は自分が情熱を持てる分野で、かつできる限りコンピュータから縁遠いものを選ぶのがよいです。ソフトウェアとは何かしらの問題を解決するために存在するものですから、ソフトウェアで解決できる問題があるかぎり、どのような分野でもテーマとなりえます。しかし興味が無いことについて、的確な問題設定や効果的な問題解決ができるはずはありません。

コンピュータから縁遠いものがよい理由は、よりインパクトのある問題解決を実現できる可能性が高いからです。コンピュータに近い分野ほど競合が存在しやすく、問題解決される機会が多くなります。

プログラマーのもう1つの傾向として、ジェネリックな問題解決方法を選びがちです。プログラミングにおいてはジェネリックなコンポーネントは美しく使い勝手がよいですが、問題解決の道具は具体的な方が受け入れられやすいです。

プログラマーはコンピュータから離れた分野で様々な経験をしたほうがよいです。その中に 1 つや 2 つ、他人に講釈できるようなものができればなおよいです。コンピュータ業界の文化が通じない場で、プログラマーとしての能力や業績をアピールするのはよい経験になると思います。すんなりと共感を得ることができるのであれば優れたバランス感覚を持っていると言えるでしょう。

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最後に

スラムダンクという漫画に登場する「河田雅史」というキャラクターをご存知でしょうか。彼は高校入学時、小柄でポジションはガードでしたが、急激に伸びる身長のためフォワードへのコンバートを経てさらにはセンターへコンバートされました。その結果、ガードのようにドライブし、フォワードのように点を取り、そしてセンターとしてゴール下を支配する最強のセンターとなることができました。変化に対応するために枠を越え続けたからこそ、大きく成長することが出来たのです。

プログラマーも同じです。

キャリア設計と行動は早いほど有利ですから、どうせなら変化を迫られる前に、自分が望む方向に自ら変化しましょう。自身の人材としての価値を高めることは、自身だけでなく所属組織にとっても大いにプラスです。

すぐに始めましょう。

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